(社)広島県建築士会 福山支部 青年部
2008研修会報告
研修会に参加して

大森 裕之

 6月5日(木)、今年の日帰り研修会が行われました。昨年と同じく朝から雨の中、大型バス1台に乗って岡山方面に出発しました。

 まずは、岡山大建工業のショールームと工場の見学をさせていただきました。



 ショールームには、多種多様にわたる製品が目的別のブースに分けて展示してありました。

 その内容は、耐震性・耐火性・調湿効果・消臭効果・高齢化対策・防音性・耐久性・ペット共生など数え切れないほどで、改めて建築に対するニーズが複雑化していることを実感しました。そして、それを満足するためにメーカー側も商品開発に努力されていることを知りました。

 その後、工場に入り、主に畳の基板等に使用されるインシュレーションボードの製造、天井材のロックウール吸音板の製造、耐力面材のダイライトの製造過程を見学しました。

 いずれも環境への配慮がなされており、原材料に建築廃材(木材)が使用されたり、製造工程で発生する端材を再生成したり、独自の手法が随所にありました。これらはパネル製造工場として50周年を迎えた当工場の技術とノウハウの結晶であり、企業の強みだと説明されていました。

 昼食後、再度バスに乗り県北方面に1時間30分、勝山町の銘建工業に到着しました。

 まずは、大断面集成材の工場を見学させていただきました。ストックヤードには、北欧諸国から輸入された欧州赤松、米松、国産の杉などたくさんのラミナ材が積み上げられていました。製造工程ではまず、ラミナ材を所定の長さまで継ぎ合わせていくフィンガージョイント加工の工程を見学し、ラミナの貼り合わせ、プレス、曲げ加工などを見ました。



 当工場では岡山県以西の大断面集成材のかなりのシェアを出荷しており、製造と同時に金物接合部や斜材の端部加工のプレカットなども行われていました。

 その後、大断面集成材を使用した屋内プールを見学しました。ここでは大断面の構造材もさることながら、プールの温水の熱源を銘建工業で製造される木質ペレットで確保しているボイラーシステムとコストについて詳しく説明を受けました。通常の灯油ボイラーでのシステムよりイニシャルコストは高いものの、安価なペレットでランニングコストを抑え、約6年でトータルコストは逆転する計画だそうです。石油高騰が進めばもっと早くなるようです。非常に先見性のある良い計画だと思いました。

 次に本社工場に行き、集成材の製造工程を見学しました。ここではラミナ材の含水率測定、製寸加工、強度測定、外観検査、等級選別がオートメーションで行われ、一気に流れて行きました。そのスピードは走っても全く追いつけないくらい高速でした。

輸入材が主流の今、港から遠い立地条件で他社に負けないためには、生産スピードを限界まで上げるしかないそうです。

しかし、集成材の出荷量も数年前の4割程度に落ち込んでいるそうです。基準法改正等、着工戸数の減少には様々の原因がありますが、やはり根本的に景気が後退していると言われていました。

 次に木質バイオマスの循環システムの見学をしました。銘建工業内では年量41,000tの樹皮・端材・プレーナー屑などの廃棄物が発生するそうです。従来は焼却処分していたものを、多大な設備投資を行い、独自の自家発電とペレット生産に切り替えたそうです。それによって今では、生産に必要な熱源・電力の供給はもちろん、余った電力を販売し、ペレットを全国に販売するまでに至っているようです。「ゴミ箱をあさってお金に変えた」と言われていました。銘建工業を中核とした「真庭エネルギーパーク」「バイオマスタウン真庭」には、年間2万人の研修見学者が訪れているそうです。

中国山地の中心部にあるこの小さな町に従業員240名、年商150億の企業があることは非常にすばらしいことだなと思いました。それと同時に昔は林業でにぎわったこの町でさえ、国産材を主要原料に使えないほど、国産林業が衰退していることに大きな危機感を感じました。この企業だけで、岡山県内で伐採出荷される国産材の2倍以上の材木を輸入しているそうです。「国内自給」「地産地消」が叫ばれる中、立ちはだかる問題は非常に大きいと思いました。

最後に、勝山の町並み散策と旧遷喬尋常小学校の見学をして、帰路につきました。

参加者のみなさん、たいへんお疲れさまでした。約12時間に及ぶ研修でしたが、非常に勉強になったことも、たくさんあったと思います。都合で参加できなかった皆さんも次回は是非、参加してみてはいかがでしょうか。

最後に、今回の研修に多大なご尽力を頂いた光和物産鰍ニ潟Aマノには改めて御礼申し上げます。

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