(社)広島県建築士会 福山支部 青年部
中四国ブロック鳥取大会報告
 『今すぐに!私たちにできること・地域防災』

〜平成20年度 青年・女性建築士の集い 中四国ブロック鳥取大会に参加して〜

青年部 幸 隆伸

 6月14日(土)15日(日)の二日間、平成20年度 青年・女性建築士の集い 中四国ブロック鳥取大会に参加してまいりました。福山支部からは青年部・女性部合わせて8名の参加でした。

 初日は鳥取県立県民文化会館にて、鳥取県建築士会の青年部・女性部のメンバー総勢110余名のたいへん熱のこもった運営のもと、午後より大会が開催されました。今回の大会テーマとして掲げられたのは、『今、私たちにできること〜地域防災と建築士』でした。隣国中国・四川の大地震の記憶も冷めやらぬ昨今、地震活動期を迎えたとされる日本においても比較的大規模な地震災害の恐怖にさらされております。中国地方も2000年10月に鳥取県西部地震、2001年3月には芸予地震にて被災したことは記憶に新しいことです。奇しくも、鳥取へ移動中に岩手・宮城内陸地震発生の速報を耳にしました。これらの地震はいずれもM6〜7の非常に規模の大きなものであったことが一つの大きな共通した特徴であるといえると思います。

 そのようななか、地震工学や地域防災等がご専門の名古屋大学大学院教授の福和伸夫先生の基調講演では、地域防災において、まずわれわれ建築士の意識改革を最優先事項としたうえで、誰にでもできることをそれぞれの地域の建築士が船頭となり率先して行うべきと強く訴えておられました。M8クラスの東海地震の発生は近い将来必至とされている東海地域では、建築士・住民ともに地域防災への関心が非常に高いそうです。それに対して、わが福山では大きな震災にいかほどの「備え」があるでしょうか。この会場入口付近では地震体験車が用意してあり、私自身も震度6を体験してまいりました。たった20秒ほどの揺れ体験でしたが、非常に強く大きく、そして長い揺れに感じたことを覚えております。まず、われわれ建築士自身が地震に対して畏怖し、それを深く正しく理解し、受け止め、どうすべきかを真剣に考える必要があると感じました。

 大会では後半いくつかのセッションに分かれており、私たち福山支部のメンバーは「DIG(災害図上訓練:Disaster Imagination Gameの略)をやってみよう!」というワークショップに参加してまいりました。100名前後を10グループ程度にわけ、実際の地図上に、災害時に有利な箇所、問題のあるポイントなどを他県の建築士たちとディスカッションしながらマーキングし、如何にして災害に備えればいいのかを議論しましたが、そこは各地域の一線で活躍されている建築士の行うゲームです。白熱した意見が飛び交い、地方都市のポテンシャルの高さを垣間見たような気がいたしました。
 
中四国ブロック大会風景 DIG風景

 2日目は鳥取県智頭町の文化財・石谷家住宅を訪ねました。大正期に10年という歳月をかけ大規模な改築を行った建物群は随所に趣向を凝らし、建築図面も多く残されるたいへん興味深い住宅建築で、ホールダウン金物も10年保証もないが地震に強い(といっていいのでは?)のです。

鳥取県智頭町の文化財・石谷家住宅

 この大会を通じて、やはり日本の建築は、われわれ建築士が守らなければならないと強く実感いたしました。大筋での方針は国が法律で規制をかけていますが、地域ごとのまちづくり、気候風土にあった建築物の再確認、地域住民と一緒になって行うDIGなどの意識啓蒙活動等は、それぞれの地域の建築士ががんばらなければほかに誰もする人がいないのです。防災グッズを用意し、ホイッスルを携帯することから始めてもいいと思います。はじめませんか?今すぐに!私たちにできる地域防災。

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